速報:量産型美意識への反逆――トビハ「クラウド・チキン」(評:北里義之)

6月16日(日)東陽町.kitenで開催中の「クラウド・チキン」にて、トビハさんの『量産型美意識への反逆』を観劇。美術的なオブジェ製作と切り離すことのできないトビハさんのパフォーマンスは、ご自身の身体をまるごと美術化する行為としてあり、演劇、仮面劇、トラディショナルダンス、モダンダンス、コンテンポラリー、舞踏、ヨガ、ストリップ、美術パフォーマンスといった身体表現の要素を雑多に含みながら、しかもそのどれでもないというような不思議なありかたをしています。それはちょうど、ビョークの音楽が、世界中の音楽を次々にコンバインしていきながら、強力な声によってそれまでどんな音楽にもありえなかった要素の組合せを、声が出現するほんのひとときだけ必然的なものとしてあらしめるという感じと似ています。この晩のセッションは、大小の鏡をたくみにさばきながら踊ったり、場面ごとに衣装を脱いでいった先で、暗闇のなか、上半身裸になり、電球を仕込んだオブジェを抱えて踊るという構成に、「量産型美意識」が鏡に映る観客の問題でもあることを暗示しつつ、エネルギー体としての身体が(はるか彼方から)訪れる予感を次第に高めていくパフォーマンスだったと思います。卵パックのテーマを「消費生活」としてではなく「量産型美意識」ととらえたのがユニークでした。写真は最後の暗闇のダンスから。■

(なお、本投稿は速報であり、今後正規のレポートを受領し次第差し替えもしくは新規掲載いたします:サイト管理人)

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